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[書籍] 失敗の本質―日本軍の組織論的研究(戸部良一、他)感想



 日本軍の失敗を組織論で分析し、反省点を見出して現代社会の組織経営に役立てよう! という本です。
 名著だとオススメされていたので読んでみました。

 うーん、結論から言いますと、多くの点に納得させられ、多くの点に疑問を抱きました。

 なんていうか、組織論の観点から書いてあるため、他の観点には触れられていないことが多いんですね。
 序文に「ちょっと強引かも☆ でも組織論の本だから!!!」的なことがちゃんと書いてありますが、それを踏まえても「そこ組織の問題かぁ?」と思うところがちょくちょくありました。
 でも大きな要因には違いなく、観点の一つとしてとても大事だと思います。

 第一章。

 日本軍がとった作戦行動の代表的失敗例が紹介されています。
 ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦です。
 ただしその後の研究によって明らかになった事実や新たに出てきた資料などもあるようで、この本に書かれていることがすべて事実とは限らないようです。

 でも当時の将兵らの手記(?)は素直に興味深く読めました。
 当時出兵した人たち全員が文章を残したわけじゃないので、あくまで主観の一つとは思いますが……。
 現代人が想像で言ってるのとは大違いですし、作戦担当者の述懐はものすごく貴重な資料ですよね。

 ……それにしても、この章は読んでいると「バカァ(涙)日本軍のバカァ(涙)」と言いたくなります。
 ところが。

 第二章。

 失敗の分析がまとめられています。
 この章を読んでいるとなんというか……身につまされます。
 当時の軍人は何もごく一部の突っ走った連中というわけではなさそうだ……。
 だって日本人こういうとこあるある! わかるよ……。わかってしまうんだ……。

 特に、『空気』について!!!!
 あのにっくき『空気』ですよ! 誰だKYとかいう言葉を作ったヤツ! 空気読めませんが、何か!?(号泣)

 日本人に合理的思考ができないわけではないんですよね。
 もちろん感情一辺倒の人も多かったでしょうが、中には合理的判断ができる人もちゃんといた。
 しかし、日本においてはしばしば……しょっちゅう? 場の『空気』というものが合理性を上回る。


 反対意見が「水を差すことになる」という『空気』で口にされない。
   →議論が充分なされないまま実行に移される

 口にしたとしても「はっきり言えば角が立つ」と思い、婉曲な伝え方をする。
   →意見が正確には伝わらない

 口にした後は「これでわかってくれたはず」と、再三の意思表示をしない。
   →意思が統一されないまま行動だけが進む

 出てきた反対意見を「ムードが悪くなる」と言って却下する。
   →心理を最優先して分析を怠る

 相手への批判を「言っても無駄だ」と心の中に閉じ込める。
   →相互理解の努力不足

 心理 > 理屈

(私なりにまとめたものなので原文とは異なります。
正確な理解を深めたい方はこの本を読んでください)


 う、うわぁぁぁぁぁ!(絶望)
 どうですか! 思い出したくない過去のあれこれが蘇ってきませんか!?

 目的のない集団でほのぼの過ごしたいならこれでもいいかなぁ? とは思うんですがね……。
 軍隊で、敵が攻めてくる中でこれは……。
 現代風に言い換えると、企業で、情勢が刻々と変化する中でこれは……。……はい。

 物事を分析する際は悪い側面ばかりが追究されやすいとは言ってもね~。色々と考えさせられます。

 しかしこういうのって日本独自なんでしょうか?
 日本人に多い気質だとは思いますが、世界にはこういった心理はないのかな?
 文化、教育によるところ大とはいえ、同じ人間なのでちょっと疑問です。
 外国人にもこういうところはあれ、組織に反映させない判断力も兼ね備えている、とか?

 日本軍との対比として、米軍のすごさが色々と書かれているもんで。
 「日本の組織ってダメすぎるのかー」と思いがちですが、「むしろ米軍が特別スゴイの? どうなの?」とも思ったり。
 アメリカの組織だってピンキリありそうなもんだけどなぁ……?

 まぁ、日本の組織は非合理的(になりやすい)。それに比べて米軍は合理的。もっとも優れたものに学べ! というのはうなずけるところです。

(「いいや、俺の組織は超合理的だ!!」という方もいらっしゃるかもしれないので「非合理!!!」と断言するのはやめておこう……)

 ともかく。

 日本軍が戦争状況下の現地においてさえ、現代日本でも幅をきかせている『空気』に影響されていた……! というのは衝撃でした。
 『空気』以外の問題点ももちろん指摘されているのですが、『空気』の説得力には適いませんでしたね。

 というか、最初に言いましたが、他の指摘に関しては「それは欠点が先なのか状況が先なのか?」と思いました。

 例えばこんな感じの表が出てきます。(ここでは本に載ってるのとちょっとだけ違う)


項目      日本軍            米軍
戦略目的    不明確            明確
戦略志向    短期決戦           長期決戦
戦略策定    帰納的            演繹的
戦略オプション 狭い             広い
技術体系    一点豪華主義         標準化
組織構造    人的ネットワーク・プロセス  システム
組織統合    人間関係による        システムによる統合
学習      一つのことを繰り返し     学習主体を自己革新
評価対象    動機・プロセス        結果


 日本は物的・人的資源が乏しいのです。アメリカと同じようにできるわけないっしょ!
 短期決戦の戦略になったのは当然では? 技術進化も一点に絞るしかなかったんじゃない……?
 だって平均的な装備ってたくさん兵隊いないと意味ないじゃん? 資源たくさんないと長期戦できないじゃん?
 ……みたいなね。

 その他の点についてはほとんど『空気』と重複していると思いました。

 日本軍には現実を顧みずに真っ向から自殺しに行ったような印象もありますが……。
 そもそも日本って負けることができたのかな?

 江戸時代の最後の方であの“眠れる獅子”中国さんがイギリスにアヘン漬け(1839)にされちゃったし。
 ペリーが黒船という“軍艦”でやってきて不平等な条約を結ばされ(1854)、そのあと他国ともいっぱい不平等条約締結。
 世界を見ればあちこちが欧米の植民地として搾取されている。
 欧米諸国こえぇー……。超こぇーよ……。ロシアさんがこっちを見てる。
 そのうち黄禍論(1895?)やオレンジ計画(1897)なんてものが出てくるのだった。

 日本は戦争に勝てません。じゃあ言いなりになりましょう。攻められたら占領されましょう! 奴隷扱いされるのチョー楽しそう! ハッピー!!
 ……とは、ならんよね。

 今よりもっと倫理感が薄くて、やったモン勝ちの世界だったろうし。
 ドイツやイタリアが欧米に負けるのと日本が欧米に負けるのとではちょっと違ったんじゃないですかね?? ただの推測でしかありませんが。

 現代からすると「だからって日本が攻める側に回らなくても!! そのせいで今周りからギャーギャー責められてんじゃん!」と、言いたくなることもありますが、後からならなんとでも言えるからなぁ……。
 近くにある資源を取りに行かないのは座して死を待つのと同じだったとか???
 やっぱり当時を生き抜いた人じゃないと正当な非難はできないですね。
 私のような若輩者では他人の知識と意見と感情を借りるばかりで、「なんであんたがエキサイトしてんの?」って言われることになりそうです。

 話を元に戻しまして。

 頑張って富国強兵してたら日清(1894)・日露(1904)で成果が出てる。

 →「資源のなさ、エトセトラは不撓不屈の精神力で補えるのだ!!」

 と、なっても無理はないんじゃないか。

 実際、物と人の乏しさを何でカバーできるかっていったら人間の脳みそ以外には思いつきません。
 勇気に使うか知謀に使うかは大きな違いだとは思いますが……。
 努力や忍耐ばかりであっても、精神論が成果に繋がることはたくさんあると思います。

 それでも「資源がない」という不利は忘れようにも忘れられませんわな。
 状況がわかっている人間は常に「何かあれば負ける」という意識があったのではないか?
 でも負けるわけにはいかない。

 →負けたときのことを考えない。

 だって精神力で補えるのなら……頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張れば負けないよね?
 ご先祖様だって勝ったんだから! みたいな悲壮な決意が……(妄想)

 日本人って基本マジメ、悪く言えば頭が固いからなぁ……。

 さらに負けた場合の話をしようとすると『空気』が悪くなるから何も言えない。
 職業軍人ならそこも議論し尽くしてほしかったけど、軍人も『空気』を読んでしまう我々と同じ人間なんですね、まいったね。

 勇気を出して空気を悪くした人は更迭されちゃう。
 だって負けるからって戦争しなかったらどうなんの? 占領されるにしても激しい抵抗をしておかないと完全に家畜扱いされるんじゃない? わかったら士気下げるようなこと言うな! 黙ってなさい!
 って感じかな???

 あと周りの空気に感化されて自分で考える前に「そっか、勝てるのかー」と鵜呑みにしたり。
 こういうのがエスカレートしていって、どっちが先かわからなくなって、教育も相まってぐんぐん盲目的になってしまったんじゃないかなぁ……。
 最終的には一般大衆も含め大多数が神国日本の幻想を信じていた。

 あくまで想像ですよ!? 妄想ですからね!?

 不明確な目標、人的ネットワーク・プロセスによる構造や、評価基準。
 どれも『空気』を読みすぎるがゆえに組織が人間関係でがんじがらめになり、何よりも合理性が求められる近代戦争で結果を出せなかった、ということでは?
 空気の読めない人間ばかりなら会議でも発言がサクサク出て、人間を評価するのも無造作にできるんじゃ……。っていうのは、ちょっとKYに期待しすぎかな。

 さらに学習指導内容も『空気』の読みすぎで説明がつく!
 だって日本人って独断専行できないから。よっぽど人間関係構築してないと、したら叩かれるから。新しいことは進めにくい。
 独裁者は嫌われるし、みんなで決めようにも「は?」「なんで?」「どうしてそんなことせにゃならんの?」「誰がすると思ってるの?」「責任取れるの?」みたいな『空気』が蔓延してると、そこでくじけちゃうのかもしれないな。
 対して『伝統』っていうのはかなりの力を持っているわけです。
 安定安心の成功例。
 大昔の成功事例を繰り返し学習する……そうなっちゃうんだろうなぁ。
 「時代が変わったからもう通用しないのでは?」とは、思っていても誰も言わない。

 すべての理由が『空気』(笑)

 実際はもっと複雑だったと思います。物事がそんな単純ってことはないだろう。
 でも私にとって『空気』は、他のたくさんのこともそれで納得がいくくらい大きな指摘だったんですね。
 とにかく「『空気』すごくね!?」と言いたくて上の文を書きました(笑)

 それにしても、日本人は協調を旨としていながら意思疎通に問題有りとはこれいかに。

 「自分一人が苦しめばいいことだ」とか、「私の胸に納めよう」とか。
 独善的ってことなのかな?
 傷つくのも傷つけるのも嫌で自己完結に逃避する。または諦観。

 真の相互理解がかなうまで積極的に関わり続ける――私たちにはそうした愛と勇気が足りていないのかもしれない。

 そこに重大な責任があるときでさえ。

 う、うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 ……個人的に反省すべき点がたくさんあってつらいっ。

 第三章。

 今までのことがまとめられています。

 あと、「こんな状況ではこうなるしかなかったのかも?」が臭わせてあったり、「日本的組織の良い面は……」というのも書いてあります。
 「今さらココにこんなちょびっとかよー!」と思わないでもない……。

 でも、短くてもこうしたフォローを忘れない本が私は好き。
 いやー、良い面も書かれてないと、「今までの全部悪かったんだ! 全部変えなきゃいけないんだ!」って思いがちじゃないですか?
 極端から極端へと飛んでいく! 私みたいなノータリンに柔軟な思考力を期待しないでくださいよ!
 なので一冊の中に違う見方も書いてくれるのはとてもありがたいんです。

 しかし……。良い面を保ちながら弱点を克服するのは非常に難しいことですね。

 この本は出版されてから多くの人々に読まれてきたようです。
 でもね、読んだ人はたぶん今でも『空気』の支配下にある。だってそういう社会だもの。
 いえ、必ずしも悪いことではありません。
 弊害をわかっていてもままならないことではありますが。

 それでも時の流れが人間の進化と比例しないのは悲しいので、少しずつ賢明になりたいです。

 KYを礼賛せよ!!!(台無し)






追記




 先日『人間 この信じやすきもの』という本を読んでいたら以下のような記述がありました。

 心理学者アービング・ジャニスは、著書『集団思考』の中で、団結心の強い政策集団が緊張が高まった状況下で効果的な行動計画を策定しなければならないという場合、集団のメンバーは集団内の意思統一に躍起となり、そのために個人的な疑問や批判の表出が抑え込まれることがあることを指摘している。

 その結果、とんでもない政策がとられることにもなる。

 ジャニスは、アーサー・シュレジンガーの回顧録から大失敗に終わったビッグズ湾事件の内情について引用しているが、シュレジンガーは自分自身を批判して次のように述べている。

「大統領執務室でのそうした重大な討論において、私はあまりに口を開かなすぎた。しかし、私がなぜ質問することにさえあんなにもおびえていたのかを考えてみると、あのばかげた作戦に警告を鳴らすことは、あの討議の場の雰囲気からはやはりどうしてもできなかったのである。」

(『人間 この信じやすきもの』 T.ギロビッチ P202)


 ビッグズ湾事件(1961)というのは、簡単に言うとアメリカがキューバに手を出して失敗した事件……なのかな? そんな感じらしいです!

 やっぱり同じ人間だもの。アメリカ人だってエアーリーディングするよね! しかも大統領執務室でね!
 たぶん日本だけじゃないよな~……と思ったよ!

 でもじゃあアメリカの軍組織だけが素晴らしいのか?
 または1961年までに太平洋戦争時の組織構造指針が失われたとか?
 はたまた『失敗の本質』の著者がアメリカを過大評価しすぎた?
 それともビッグズ事件の関係者だけがダメだったとか???

 謎ですね! とても気になるけどわかりません!

 とにかく上の記述を読んだときに「お~!」と思ったのでした!

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