タイトルからの印象で、「トリックが奇抜なミステリー小説かなー? 連続殺人事件をひねりまくってるみたいな?」と思ったら、全然違いました。
主人公はなんの比喩でもなく、そのまんま「死神」!
一人の死神が、自分の担当の人間を見守りながら、「可」か「見送り」か判断するお話です。ハイ、「可」が下された人間は死んじゃうんですわ……。
じゃあアンニュイな雰囲気の話なのか? と思いきや、そうでもない。
ストーリー自体は諸行無常というか、やるせない展開も多くありますが……、主人公の死神(=人間じゃないイキモノ)の一人称で進んでいくので、何事も終始淡々としています。
死神は人間の悩みなんぞ別にどうでもいいんですな。仕事だからつきあってやってるだけ。
この距離感が気持ちいい!
哀切や苦悶の押しつけがなく、たいへん読みやすいです。
しかもこの死神さん結構天然!! ……というか、人間とは常識が違うんですね。思いがけないタイミングで真面目におかしなことを言い出すので、ついクスリとしてしまいます。
しかしもちろん、コメディというわけでもありません。
ただただ、「人間と不思議なイキモノ」という感じ。
不思議なイキモノから見た人間の姿……。
つまりは、「人間を描いたお話」ということなのでしょう。
さらっと読みやすいのに、印象的な雰囲気がしっかり心に残る小説でした。
死神さんが過去に出会ったものたちと再会するシーンがとても好きです!
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