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[小説] ラバー・ソウル(井上夢人)感想



 容貌のとんでもなく醜い男がモデルの若い女性に惚れちゃってストーカーと化し、彼女に近づく男を殺害していくお話です! うん、そういう話だよ!

 物語はそれぞれの登場人物の一人称で語られていきます。
 主人公のいかにもストーカーっぽい独白は読んでいて気持ちのいいものではありません。しかし、そこを我慢して是非最後の最後まで読んでみてください。

 そうだなー、ホラーを読んでるんだと思えば完走できるんじゃないかと思います。
 結構淡々と進んでいきますが、その淡々とした調子がまた気持ち悪さを倍増させていると思うので、これはもう“気持ち悪さ”を楽しむ小説でもあるんだと思うんですね。

 読んでいる途中でなんとなくブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』を思い出しました。
 あれって登場人物の書いた書簡を並べていく方式で話が進んでいくんですよ。
 この『ラバー・ソウル』もそんな感じで進んでいきます。
 さらに『吸血鬼ドラキュラ』では途中「生き物を殺すのが好き」な精神病患者が出てきます。最初は小さな虫を殺すことで満足していた患者が、段々小動物を殺すようになり、殺す動物の大きさが大きくなって……という話だったかな??? うろ覚え。もしかしたら何かと混同してるかも?
 でもまぁ、そういう患者の経過報告を主治医が恐れを抱きながらも淡々と記していくシーンがあったと思うんですが、その部分の雰囲気と、この『ラバー・ソウル』、よく似ている印象を抱きました。
 あくまで私の考えですが。

 小説家って異常者の心理を描写するのが楽しいんじゃないかと思うんですねー。
 倫理とか道徳とかはひとまず置いといて。
 異常者っていうのは常人とは違う思考を持っていますから、それを上手いこと解き明かせて、説得力のある形で読者に伝えられたら……“気持ち悪い。ストーカーってこんな考え方するんだ”って読者に思ってもらえたら勝ち。
 “どんなふうに気持ち悪いと感じさせるか”
 そんなことを考えながら小説を書いて、調子よく書けていたら、もう楽しくて楽しくてしょうがないんじゃないかと思うんです。
 だから私は主人公の“気持ち悪さ”を読みながら、「この作者楽しそうだなー」と思ってましたw
 もちろん「この気持ち悪い男が次はどう考えてどういう行動をしてしまうのか……」とドキドキもしましたよ!

 ただ、私は元々『美女と野獣』や『オペラ座の怪人』が大好きなタチでして。
 ディズニーの『ノートルダムの鐘』だったかな? あれもせむしの主人公がヒロインとくっつくことを願っていたのにそうならなくてイライラしたし!
 結構「見た目は醜いが心は優しい男」っていうのに弱いんですよ。
 ……え? おまえ三次元でも同じ事言えんの? って?
 もちろん言えないよ! だって二次元だと相手の心が見えるけど、三次元では見えないじゃんか!!!
 ちょっと親切にされたくらいで相手の心が美しいと信じられるほど純真な人間じゃないんですよ、私は。
 しかし二次元なら心置きなく萌えられるわけです。

 だから、この気持ち悪いストーカー主人公を憎みきれない。
 この殺人者には何かの拍子に違う人生があったかもしれないのに……なんて思いながら読んでいました。
 これは私の嗜好でもありますけど、作者の描き方も上手いんだと思います。
 元々の萌え属性のせいで上手く分析できないんですが、たぶん属性を持っていない人でも主人公に多少の同情は抱くんじゃないのかな……?

 気持ち悪い。でも可哀想。主人公がこうなった理由もわかる気がする。が、なんとかならなかったのか……。
 どうしたって破滅に向かうのはわかってる。けど読み進めてしまう。
 そしてラスト……。

 もう一度言いますが、この小説は絶対にラストまで読んでくださいね!
 途中までしか読んでいないなんて言語道断。くじけないで最後まで読んでください。
 そうじゃないとこの作品は語れないんだ!!!

 ラストまで読むと……。
 色々なことを考えさせられますが……、私は猪俣さんの証言を思い返して胸に来ました。
 うわーん!!

 大変よくできた小説でした。

 しかし……。

 野暮なことかも知れないが、どうしてもつっこんでおきたいことがあるんだ!!
 それは、それはね……。

 整形したらダメなんですか? ってこと!

 このお話の舞台は現代。
 『ノートルダムの鐘』は15世紀、『オペラ座の怪人』は19世紀でしたが、このお話はインターネットも発達している現代のお話なんですよ。
 整形なんて簡単でしょ???
 「プチ整形」なんつー言葉があるくらいだし、この主人公みたいに自殺未遂レベルで悩んでるなら、とっとと整形しちゃえばいいのに! って思うんですよ。主人公金持ちなんだし、なんの問題もないだろ? この両親なら両手を挙げて賛成するだろうしね。
 まぁ皮膚の症状はどうにもならないのかも知れないけど、ちょっとマシにするくらいはできるんじゃないの????
 あと、足の長さが五センチも違うから歩き方もおかしくなるって設定も、金持ちなんだから、片足のシークレットシューズくらい特注しろよ!!!
 つーか松葉杖使うだけでも印象変わるんじゃないの?
 そんなふうに考えるとなー、どうも主人公たちが悲劇に酔ってる気がしてしまう。
 それとも私が重要な部分を読み飛ばしたのかなぁ……。“整形もできない病気”とか。
 そう言ってみると途端に記憶が曖昧になってきますが。え、え、どうだったんだろ?

 でも他の点については大満足でした!


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