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[小説] シアター!(有川浩)感想



 300万の赤字を抱えた小劇団を部外者のサラリーマンがつぶす気で建て直す物語です。
 300万をとりあえず立て替えて、「二年以内に劇団からの収益だけで返済できなければ演劇なんてやめちまえ!」というお話。

 でもこのサラリーマン、良い感じのツンデレでして、突き放したように見えてかいがいしく面倒を見てくれます。
 劇団の主宰をやっているのは彼の弟なのですが、兄弟そろってわかりやすいブラコンです。こんな兄弟いねぇよ! って思うけど、ライトノベルだからいいんだい。

 金銭感覚に欠けた弟に対し、お兄ちゃんの方は『鉄壁宰相』のあだ名を持つ守銭奴。「劇団」という特殊な世界に容赦なくメスを入れていきます。
 キャストはボランティアなのに舞台監督は外注で金がかかるとか、なんか色々。「へー、そうなのかー、知らなかった」といったたぐいの面白さがありました。
 舞台演劇を見に行った経験があるので、たいへん興味深かったです。

 劇団モノではありますが、内容はほとんど経営の話をしています。
 私は「少人数の共同体なんて泥沼だよなー。途中人間関係崩壊したりするんだろうなー」なんて思いながら読み始めましたが、その辺にはあまり触れられていませんでした。
 だいたい芸術家タイプでフラフラしている連中にお金の大切さを教え込んでいくお兄ちゃん無双です。

 ブラコン兄弟以外もみんな好感の持てる人物です。が、劇団員は10名なので「こいつ誰だっけ」と思うこともしばしば。まぁ話の内容を追いかける分には問題ないかな?

 ただ……。
 キャラクターがみんな、どこかで見たような感じがします。
「この人はこういうタイプのキャラなのかー、たぶんこんな役回りでこんなことするんだろうなー」と思ったら九割以上当たります。
 ある意味わかりやすくて受け入れやすい。人数が多いので、わざとなのかもしれません。
 でもなぁ……。
 ライトノベルのキャラクターなんて定型化された世界のような気がしますが、だからこそそれぞれに定型以外の「個性」を用意してあると思うんですね。けどこの小説は……普通? この世界で突飛なキャラやられても困りますけど。
 魅せ方もまたどこかで見たような感じでした。根っからの末っ子の甘え方とか。「こういうキャラはこう魅せると萌えるよね!」のテンプレをすかさず踏んでくれる感じ? もちろんまんまと萌えちゃいますが。
 お約束なサービスを外さないので、嬉しいことは嬉しいけども、新鮮な驚きはない。……みたいな? 上手く言えません。
 他にも「それはかっこよすぎじゃないのか?」(そのキャラ、出来すぎじゃないか?)というシーンがあったり……。
 私がひねくれているせいでしょうか、時々「このお説教はキャラクターの主観ではなくて、作者自身の主張なんだろうなぁ」と思ったりもしました。
 あとがきに「お金のことをきちんと考える人たちが好き」と書いてあって、「だからあんなにお兄ちゃん無双なのか?」と思ったり。
 キャラクター以外では、最後の方のハプニングがとってつけたように感じたかなぁ。

 んー……。まぁ、色々言いましたが、それでも面白くてさらっと読めたので、素直な人ならもっともっと楽しめるだろうと思います。

 ところで、あちこちに恋愛フラグが立っていますが、どれもすっきりしないまま終わります。
 むしろ肝心の300万も返せてない。俺たちの戦いはこれからだ!
 こりゃーもしかしたら続編が出てるんじゃないか??? と思って調べてみたら、やっぱり出ていました。そうだよね、物足りないと思ったもん。
 どうせ300万は返済できるのでしょうが、恋愛模様がどうなるのかちょっと気になります。ブラコン兄弟は一人の女を奪い合うのか!? 見たいような、見たくないような。やっぱりやめておこうかな……。


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