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[小説] ターン(北村薫)感想



 主人公は結婚適齢期が過ぎるかなー? くらいの年齢の女性。
 ある日事故に遭い、その瞬間から不思議な空間に飛ばされます。自分以外誰もいない世界。その世界では事故があった時間になると何もかも前日の状態に戻ってしまいます。
 作ったものも元通り。採ってきたものも元通り。
 そんな世界で、主人公は何日も何日も過ごしていきます。出られる見込みはありません。
 しかしある日、誰もいないはずの世界に一本の電話がかかってきて――。

 まぁそんな感じのあらすじです。

 タイトルだけ見たときは「どんどん若返っていく話かな? それとも赤ん坊からやり直す話かな?」と思ったのですが、どっちも違いました。前日の状態に戻るだけです。
 しかしそれがいかに残酷なことか……。丁寧な描写で空虚な恐ろしさが静かに迫ります。面白いです。
 序盤は二人称で書かれているのですが、これもまた不思議な雰囲気を出していて面白いです。「なぜ二人称なのか?」という興味で結構読み進められます。
 でもなぁ……。
 私は前作の「リセット」の方が好きですね。

 二人称の種明かしにかなり期待していましたが、どうも……「だから何?」というか、それ自体は「運命的なんだね」とは思うけど、そこから前後に繋がっていかないというか、とってつけたみたいな感じで、「なんでこの設定作ったんだろう???」と思ってしまいました。読み込みがたりないのかもしれません。

 あと……電話の主はお察しの通りというか、男性でして。二人は電話で交流していくことになるのですが……。
 交流手段が言葉だけなんですよね。そりゃー当たり前です。当たり前ですよ。
 でも読んでると段々「この女(主人公)面倒くせぇ」と思っちゃうんです。特に後半。
 主人公はしっかりした女性で、内省的で、まぁ人として尊敬できるタイプだとは思いますよ。でも理屈っぽい。
 いや、いいことは言っています。共感も感心もできますとも!
 しかし私は別に名言集を読みたいわけじゃないんだ……。
 女性が自分の(きれいな)考えを打ち明けて男性が(かっこよく)受け入れるパターンはお腹いっぱい……。
 そんな気分になってきます。
 ちなみに私は女なので、「(一般的な)女うぜぇ」という意味での「主人公面倒くせぇ」ではないです。むしろよくわかるからこそ面倒くさいんですよ。

 「リセット」ではそこまで思わなかったんですけどね。あれは職業が教師でしたし、お相手の男性との交流も合間合間でしたし。他の人間とのやりとりで幾分気が紛れましたし、主人公の気持ちの大半は地の文で消化されていたと思います。
 でも「ターン」の書き方は私には合いませんでした。

 ただこの「繰り返し」の不思議な世界の不気味さはかなり好きです。面白い、って言ったら苦労した主人公に怒られそう……私は絶対体験したくない!(笑)ですが、面白いです。
 この世界をミステリーとかサスペンス風に活用されたらたぶん私はもっと食いついていたでしょう。
 ようするに相性の問題ですね!

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